4、皇室制度の概要と天皇家の系図

(1)皇室制度

 皇室は天皇及び皇族で構成されており、これらの方々は内廷にある方々とそれ以外の方々に分かれる。内廷にある方々は、天皇、皇后陛下と皇太子、同妃殿下、礼宮 ( あやのみや ) 紀宮 ( のりのみや ) の各殿下である。他の皇族は、常陸宮 ( ひたちのみや ) 秩父宮 ( ちちぶのみや ) 高松宮 ( たかまつのみや ) 三笠宮 ( みかさのみや ) の方々である。 

 天皇陛下のお出ましを行幸といい皇后陛下、皇太子殿下、同妃殿下のお出ましを行啓という。両陛下が御一緒の場合は行幸啓という。言うまでもなく天皇の地位は、日本国の象徴であってこの地位は主権の存する日本国民の総意に基づく。( 憲法1条 )

 皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところによりこれを継承する。またその権能は日本国憲法に定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能は無い。( 憲法4条)
国事に関する行為とは、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命,内閣の指名に基づいて最高裁の長官を任命,憲法改正、法律、政令及び条約を公布するなど憲法6・7条に明示されている。

 皇族の身分取得は、永世皇族制をとるので嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫のみ男を親王、女を内親王とし三世以下の嫡男系嫡出の子孫は男を王、女を女王という。皇嗣たる皇子を皇太子といい皇太子のないときは皇嗣たる皇孫を皇太孫という。

 また天皇及び皇族は、養子をすることができないし皇族男子の婚姻は皇室会議の議を経ることになっていて自由に結婚できない。皇族が独立して生計を営まれる時に天皇から賜る称号を宮号という。

 皇位継承は、皇統に属する男系の男子である。皇統とは、天皇の血統のことであり女子は皇位継承はできない。順位を具体的に記すと@皇長子、A皇長孫、Bその他の皇長子の子孫、C皇次子及びその子孫、Dその他の皇子孫、E皇兄弟及びその子孫、F皇伯叔父及びその子孫であって即位は天皇が崩御のときに限られる。

 天皇、皇太子、皇太孫の成年は18で一般の我々が20才であるのと違っている。敬称は、天皇、皇后、太皇太后、皇太后を陛下といい、その他の皇族を殿下という。また天皇、皇后、太皇太后、皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓という。

 新聞などに出る侍従職は、侍従長のもとに侍従次長、侍従、女官長、女官、侍従職参事、侍医長などの職員をいう。東宮職は、東宮大夫のもとに東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長などの職員がいて皇太子、同妃殿下のお身近のことを司っている。

 戦前の御料地など皇室財産は、日本国憲法の施行により総て国の所有になり、その一部が国有財産たる皇室用財産として皇室の用に供せられている。それには、次ぎのようなものがある。

@ 皇居は、徳川幕府の江戸城で明治元年皇居となり明治21年以来宮城と称されたが、昭和23年から再び皇居と呼ばれるようになった。皇居内には、天皇、皇后両陛下のお住まいである吹上御所、宮殿、宮内庁庁舎、生物学御研究所、桃華楽堂などがある。
A 赤坂御用地は、旧青山御所の一部である。
B 葉山・那須御用邸は、両陛下はじめ皇族の避暑、御研究の場所として用いられている。
C 京都御所は、桓武天皇以来明治元年まで千年余の間皇居のあった所である。現在の御所は、安政2年の造営で大正天皇、昭和天皇の即位の礼はここで行われた。その他桂及び修学院離宮、正倉院、陵や墓などは近畿に多い。

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